品のある人に共通すること(曽野綾子)

今の時代になどという言葉を持ち出すと笑われるだろうが、私はやはり
或る人が品がいいと感じるときは、まちがいなくその人が成熟した人格であることを確認している。

品を保つということは、一人で人生を戦うことなのだろう。それは別にお高く止まる態度を取るということではない。009.gif

自分を失わず、誰とでも穏やかに心を開いて会話ができ、相手と同感するところと、拒否すべき点とを明確に見極め、その中にあって決して流されないことである。
この姿勢を保つには、その人自身が、川の流れの中に立つ杭のようでなければならない。この比喩は決してすてきな光景ではないのだが、私は川の中の杭という表現に深い尊敬を持っているのである。
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世の中の災難、不運、病気、経済的変化、戦争、内乱、すべてがボロ切れがゴミのようになってこの杭にひっかかるのだが、それでも杭はそれらを引き受け、朽ちていなければ倒れることなく、端然と川の中に立ち続ける。これが本当の自由というものの姿なのだと思う。この自立の精神がない人は、つまり自由人ではない。005.gif

子どもはまだ修行中だから、子どもには自由はない。子供にも人権があるから、自由だ、などと言葉の意味も深く考えずに平気で口にする人もいるが、経済的にも、肉体的にも自立していない人間が自由に生きられるわけはない。c0190486_10375151.jpgただ、子どもはあふれるような親の愛情を浴びて育つのが原則だ。


品というものは多分勉強によって身につく。本を読み、謙虚に他人の言動から学び、感謝を忘れず、利己的にならないことだ。受けるだけではなく、与えることは光栄だと考えていると、それだけでその人には気品が感じられるようになるものである。056.gif

健康を志向し、美容に心がける。たいていの人がこの二点については比較的に熱心にやっている。しかし教養をつけ、心を鍛える、という内面の管理にはあまり熱心ではない。002.gif
どうしてなのだろう、と私は時々不思議に思っている。
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