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「無縁社会を考える」―孤独死ゼロへ―湯浅誠さん講演会

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町でポスターを見て、行ってきました。
京都弁護士会の講演会は、以前もなんどか行ったことがあり、例えば全盲の弁護士竹下 義樹さんの講演など、無料ですごく内容がよかったのを記憶しています。

反貧困ネットワークの湯浅誠さんはメディアでもよく出られていますが、私がこの人を知ったのは、サブカル系の本だったかと思います(笑)

東大という高学歴でありながら、学生時代からホームレス支援などをされていた、ある意味、奇特(?)な方です。

第2部ではパネルディスカッションで、
「無縁社会」の元プロデューサーの板垣淑子さん、同志社大学の橘木俊詔先生、「アントキノイノチ」のモデル、遺品理専門業者の吉田太一社長が来られていました。

色々とショッキングな話も多く、感じることも多かったのですが、うまく文章に表すことができません。

最初の湯浅誠さんの言葉が印象的でした。

「貧困」は単に貧乏を言うのでない。貧乏でも幸せな人はいる。
本当の貧困は「貧乏」+「孤独」、貧乏で幸せな人はいても貧困で幸せな人はいない、と。

「無縁社会」の板垣さんは、取材の中で「無縁社会」という言葉を造語として作ったそうですが、驚くことに年間3万2,000人も、誰も引き取り手がいない、行政の手を借りるしかない遺体がある、と言っておられました。

もうひとつ驚くのが、この「無縁社会」を放送したとき、多くの電話やFAX、メール等が寄せられてたそうですが、一番多かったのが、まだ若い20代から40代からの層だったということです。
なかには「死にたい、私もひとりぼっち」という声も多かった、、と。

そういう話を聞くと、私たちは「社会の中で誰かの役に立っているという実感」に支えられ生きていることがわかります。
不況になって、仕事を失う人、いわゆる「ブラック企業」で辞めざるを得なくなった人は、「金銭」とともに、「人とのつながり」も失ってしまう。湯浅さんの言葉で言うと、「貧乏なうえに孤独」という「貧困」に陥った人は生きる希望を失ってしまいます。そうすると日本経済全体の活力が落ちてしまう。そういう意味でも他人ごとではないと思います。

かつての日本は3つの縁に支えられ、助け合ってきたと言います。
「血縁」「地縁」「社縁」
核家族化や、マンション建設等による地域コミュニティーの解体、終身雇用制度の崩壊等、どれをとってもその「縁」は希薄になっていることを誰しもが否定できないと思います。

本来、「共同体」とは人を「人格」ごと、まるごと受け入れてくれるものをいう、と言います。
共同体が緩やかに崩壊している今、私たちは何をするべきか、考えさせられた講演会でした。
by hito2653 | 2012-11-19 22:17 | 雑感。