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「ことばのチカラ」香山リカ(集英社文庫)

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社会人生活をしていくうえで、役立ちそうなところを抜粋。
読んだらすぐ忘れちゃう私のための備忘録です。

「忙しい」
 会話の口火を切って言われる「お忙しいですか」にはおそらくそれほどの意味はないだろう。「お久しぶり」とほとんどおなじ挨拶だ。それなのに、言われた方はけっこう正直に「とくに今週はものすごく忙しいんですよ」と答えてしまいがちだ。
大切なのは「忙しい?」と聞いてくれる相手にもきちんと配慮することだ。

「忙しいんですよ、大きなプロジェクトを立て続けに任されて・・」とそこからどんどん“自分語り”に入るのではなく、
「ちょっと忙しいですね。あなたもかなり忙しいのではないですか?」と次に相手に振るのがよい。
もしくは尋ねてくれた人への感謝の言葉を「ありがとうございます。ちょっといそがしくて」とはじめにひとこと付け加えておくのがいいだろう。



「がんばってください」
 「うつ病の人に『がんばってください』という言葉はタブーです」
と必ず雑誌などのうつ特集に書かれている。
しかし、ここには大きな誤解がある。うつ病のすべての人に「がんばって」と言ってはいけないわけではない。

うつ病で思うように動けない苦痛を十分理解したうえで「たいへんだね、あせらずがんばってね」というのなら問題はまったくないだろう。
うつ病からもわかるように「がんばってね」は発する人の気持ちでその意味が大きく変わる言葉だ。

相手と距離を置き、吐き捨てるように発せられる「がんばれよ」は「怠けるな」に等しい。

一方、相手の努力を尊重して、やさしく投げかけられる「がんばってくださいね」は「無理しないでね」と同じような意味をもつ。いくら表面的に取り繕いながら「がんばってね」と言っても、その背後にある本音が透けて見えるのもこの言葉の特徴だ。

「がんばってください」と言った後には、「がんばりましたね」と評価してあげることも大切だ。
「がんばって」を使うときは必ず「よくがんばったね」もペアで、という原則だけを押さえて、なるべく明るく言うように。これだけ覚えておけば大きな問題はないはずだ。



「あなたはそのままで大丈夫」
「大丈夫」という言葉には不思議なパワーが秘められている。笑顔でこう言われたら自信のなさも霧散して少しだけでも前進できるような気がしてくる。


昨日、テレビ番組で芸能人が悩みを打ち明け、様々な方面のコメンテーターや子供まで(強烈素人相談員)がそれに対してアドバイスをしている番組があった。

それに出ていたのが、バツイチ子持ちの山口もえ
今後、シングルマザーとして生きていくことへの不安を訴えていた。

その中で、「甘い」とか「自分の責任」とか言う人もいたけれど、彼女の心を一番とらえていたのが、女性医師の今井通子の「あなたはそのままで大丈夫」という言葉だった。

シンブルマザーのなかにも身勝手で子供の心配よりもむしろ自分自身の被害者意識を強く持つ人も多いという。そんな中で、子どものことを何よりも一番に考えているあなたは素晴らしい、そんなあなたならきっと大丈夫、と。
すごく力強い言葉だった。
言葉のチカラってすごいとおもう。でも、それはさっきの「がんばれ」もそうだけれど、その言葉を発した人自身の人格や、発する相手へどこまで「思いやり」を持って接しているかによってもその意味合いや重みも変わってくる。

本書を読んで改めてそれに気が付いた^^
by hito2653 | 2012-11-05 20:36 | 読書