伊達直人現象と慣性の法則
偽善とか自己満足とかいう人もいるけれど、注目したいのは「行為」自体のよしあしではなく、その「行為」にかりたてるほどに「人の心が動かされた」という事実。
テレビで社会心理学者が面白いコメントを言っていた。
元来人間は「人の役に立ちたい」とか「いいことをして人に喜んでもらいたい」という気持ちを誰しもが持っている。しかし、「照れくさい」という気質を日本人が持っているがためになかなか行動に出すことができない。そんな中、先手を切って「伊達直人」なる者が行動を起こしてくれた。それに対して我も我もと追随者が出てきたのである。
自然現象でもある例が出された。
-7度の部屋に水の入ったペットボトルが置かれていたが、振動があるため水は凍らない。
しかし、ひとたび常温のところへ持っていき、地面にバン!とたたきつけると、常温でたちまち水は凍ってペットボトルの水は氷の柱になってしまったのだ。
つまり、何も外的刺激がないところでは、「こうなりたい」という願望があってもそれが実現されることはない。それは「慣性の法則」からで、今の自然現象でも人間の心理でも、今の状態を保ち続けようとする現状維持の作用が働く。
そこに、ちょっとした外的刺激を与えると、たちまち「元来ありたかった姿」に「現状」を変えてでもなろうとする。「伊達直人」という「外的刺激」が「慣性の法則」を打ち破ったのである。
人は外からのちょっとした刺激から行動を起こすようになる、というのが社会現象として表れているのは面白いと思った。