人気ブログランキング | 話題のタグを見る

減価償却は任意償却?

よく、財務DD※や中期経営計画とかの際に「減価償却費」をさわっているケースを目にする。
(デューデリジェンス:財務内容を精査して実態B/Sに修正すること)

たとえば、
「減価償却費の償却不足を加味すれば、実質債務超過でした」(DD)とか、
「利益が出だしたら減価償却の金額を増やす」(中経)とか。

減価償却って金額決まってるんじゃないのーー??そんなんありなーーん??008.gif

という素人めいた質問を税理士になげかけてみたところ、次のようなキーワードが。

「任意償却」

つまり法人の場合は任意償却といって「償却限度額」以下の金額であれば、任意で減価償却費を設定することができ、0円、つまり全く計上しなくても税法上ではOKということになります。

また、そういう意味では「儲かったら償却するわ」ということも償却限度額以内であれば構わない、ということになります。040.gif

しかし、企業会計原則では・・・

■企業会計原則
資産の取得原価は、資産の種類に応じた費用配分の原則によって、各事業年度に配分しなければならない。有形固定資産は、当該資産の耐用期間にわたり、定額法、定率法等の一定の減価償却の方法によって、その取得原価を各事業年度に配分し、無形固定資産は、当該資産の有効期間にわたり、一定の減価償却の方法によって、その取得原価を各事業年度に配分しなければならない。繰延資産についても、これに準じて、各事業年度に均等額以上を配分しなければならない。


とあり、任意でも構わない、ということはうたわれていません。
でも、罰則規定がいまのところなく、結局任意ということで企業にゆだねられているというのが現状のようです。
ちなみに、平成19年度税制改正により、平成19年4月1日以後に取得をされた減価償却資産については、償却可能限度額及び残存価額が廃止され、耐用年数経過時に残存簿価1円まで償却できるようになるとともに、新たな償却方法として、従前における計算の仕組みとは異なる定額法や定率法などが導入されました035.gif

つまり、いっぱい償却できる、っていうことになったんですね。
利益が出ていなくて、減価償却を留保している企業が多いと思われますので、償却限度額まで償却したと仮定し、DDすると実質債務超過になる会社がいっぱいありそうです。